島飯『 縁 ~えにし~』

島飯『 縁 ~えにし~』

2012年3月8日木曜日

『HAIR CREATE GENTS』

『HAIR CREATE GENTS』

「理髪店」の店舗デザインの依頼。

広島の風物詩として、皆に愛されている風景に路面電車がある。当projectは、とある下町のそんな路面電車線路沿い、どこか懐かしさを感じさせる趣のある通りに面し、既に地域に根ざしているテナントのリニューアルであった。

現在は、ヘアサロンというと美容院というジャンルが思い浮かび、街中ではどちらかというと、いわゆる理髪店と言われえるジャンルの方が数も少ないのでは、という印象を受ける。が、美容院であれ理髪店であれ、髪を触る事をメインとした客を満足させるサービス、という点では根本的な部分に違いは無いはずである。クライアントとのセッションの中で、流行を追い変化と進化をいとわないスタイルなのか、はたまた変わらず普遍的な部分を大事に拘り続けるスタイルなのか、そういった拘りの部分の差なのでは無いか、という解釈をした。そして、当projectは大部分で、後者に属する訳である。

店主自身、相当な拘りとユーモアを併せ持つ、男らしく繊細な伊達男である。そんな男に惚れた、男の中の男達が、生涯通えるスタイリッシュなバーバー。そんな店舗が似合うだろう・・・。頭の中では、そんな事を考えながらプログラムを組み立てて行った。

・既存の環境に違和感無く溶け込ませる事。
・既にここにある存在感を受け継ぐ事。
・今と変わらず地域に愛され続ける事。

クライアントに直に要望された訳ではない。当プロジェクトの打合せの際、何度も既存店舗に通う度、真摯で丁寧な接客や会話をみて、地域の方達に、心から愛されている姿を間近で拝見し、この場所で長年働かれ、地域に貢献されて来た歴史を重く感じざるおえなかった。デザインがどうのこうのの前に、この事実や場所に敬意を払い、既存の存在感や空気感、そして状況のような感覚を継承する事がまず有りきである、と強く感じた。そこに店主の長年の強い想いや拘りを、形として表現し、無骨さの中に繊細さや優しさといった概念を加えて共存させる事。その事が使命だと感じた。

生意気では有るが、店主とは、男として見て来た物、憧れて来た物が共通し、感覚で分かり合えた面が多かった。進行過程では、緊張感を持ちながらも楽しみながら打合せさせて頂いた。その為か、店舗デザインの面では大きく一任頂いたように思う。私自身、相当プレッシャーも大きかったが、デザイナー冥利に尽きる仕事となり、力を出し切った思いは強い。しかし、リニューアルOPENを迎え、果たしてこの店舗デザインが、この地域この場所に正解であったのかどうか、まだまだ答えは見えていない・・・。半年後か、数年後か、時間の経過と共に、この線路沿いの通りに馴染んで行き、前店舗同様、変わらず地域の方々に愛されながら育って行く事を、強く願ってやまない。


当projectも、タイトなスケジュール、さらには悪天候もあり、工程管理の難しい状況であったにも拘らず、多くのpartnersの皆様の多大な協力により形にする事が出来た事を、心より感謝致します。

私自身、地域を意識する事、歴史を意識する事、そこに携わる責任の大きさ、を、改めて実感したprojectとなりました。創業1963年と、歴史ある店舗のリニューアルに際し、少しでもかかわる貴重な経験を持てた事を、重ねて感謝致します。


URAKATA design office & partners
代表 刈内邦夫






『HAIR CREATE GENTS』
広島市西区天満町16-7
tel:082-231-7042
web:http://hc-gents.jp/















0 件のコメント:

コメントを投稿