島飯『 縁 ~えにし~』

島飯『 縁 ~えにし~』

2010年9月10日金曜日

『Eternal land』









美容室の店舗デザイン。

『木』と『鉄』と。この普遍的な素材がクライアントの要望であった。

プログラム、動線、素材選び、使い方、コスト等々、ヒアリングによりそれぞれのバランスを考えた結果、ワンフロア型とし、家具の配置により緩やかにエリアを仕切る構成とした。
特に、家具の『置き方』は慎重にスタディーし、必要容量の中身まで綿密に打合せを重ね、寸法を決定していった。

『木』と『鉄』というありふれた素材を、『時間経過』を意識して操作した。店舗入口には中古の無垢素材。店舗内部床は古加工が施された無垢素材。そして家具やカウンター、鏡枠、笠木などは新しく切り出した無垢素材。そして家具のスチールフレームや脚部、入口扉の押棒は、メッキなどは施さず、溶接痕やグラインダーでの削り痕等をあえて露出させ『時間経過』に馴染ませる為の演出をした。
その結果、味わいと清潔感とが、バランス良く両立出来たのではないかと自負している。

ロケーションの良さ、そしてプログラムのボリュームと店舗面積に無理が無く、車椅子での来客や子供連れでの来客など、クライアントのキメ細やかなサービスに対応しつつ、贅沢さを感じさせる理想的な余白も生まれている。

店舗引渡し後、クライアントより「ずっとここに居たい。家に帰りたくなくなります。」という最高の褒め言葉と笑顔を頂き、ホッと胸を撫で下ろせた。

時間の経過と共に、美容師というハードワークに耐える強い骨格と、時代の先端を切り取る繊細さを併せ持ち、地域の人々に愛され一つの風景になる、そんな『場所』に成長していく事を期待している。


『Eternal land』
広島県廿日市市山陽園8-19 1F
TEL:(0829)30-7744
WEB:blog

2010年9月2日木曜日

『photo studio』



フォトスタジオのリニューアルに際し設計をご依頼頂きました。

クライアントの長年の仕事に十二分に対応して来たスタジオであったが、『フィルム』から『データ』への変換に伴い、スタイルの変更を余儀なくされ、旧店舗では仕事環境や導線に無理が生じていた。

旧店舗は全面ガラス張りのファサードになっており、額に入れられた数々の写真がガラス面全体に展示されている構成であった。ガラス面ではあるが展示物で中が見えない、という状況を工夫して使用されてはいたが、もっと別の写真展示方法があるのではないか?という疑問から思考をスタートさせた。

創業77年という、既に町に根付いた歴史あるフォトスタジオということもあり、10枚の写真全てを展示するのではなく、1枚の写真を効果的に演出する事を提案し、ガラス張り面をあえて撤去し、展示ギャラリーや西陽の問題、内部空間のスムーズな利用等、多機能的な『壁』を出現させる事で回答とした。

歴史ある風景を壊し過ぎない事、そして必要な新たなスタイルへの変更。古き良きを継承し、新しい状況を受け入れ進化していく。
クライアント様との貴重なお話の中で、『続く』とは、こうした繰り返しなのだと強く感じました。

これからも地域に貢献され、多くの大切な記録を残し、皆の記憶に残っていかれる事を期待し、当プロジェクトに少しでも携わる事が出来た事を感謝します。


『福島写場』
〒737-0141 広島県呉市広大新開1丁目4-11
Tel:0823-71-7446